数年前からトレンドとなり、多くの企業で導入しているチャットボット。人員調整やコロナ下でのリモートワークでの対策等でさらに導入を検討している企業が増えています。24時間365日稼働することができるチャットボットを導入する上で、費用はどのくらい発生してくるのでしょうか?今回はチャットボットの費用についての疑問についてまとめてみました。
チャットボットの導入コストをまとめなくちゃいけないんだけど、そもそもどういったサービスがあるんだろう?
チャットボットは無料版から有料版、その中でも機能やAIのモデルなんかによって費用が変わってくるね。一緒にまとめてみようか!
チャットボットとは〜おさらい〜
「チャットボットについては大丈夫!」という方は読み飛ばしていただいて大丈夫です。おさらいも兼ねて紹介します。
チャットボットは「chat (会話する)」+「bot(ロボット)」の造語
チャットボットはテキストを通じてコミュニケーションが取れるロボットのことです。人間との会話を行うアプローチは大きく2つあります。この2つのアプローチによって大きく費用も異なってきますので、簡単に理解しておきましょう。
そもそもチャットボットって何のこと?という方は【完全初心者向け】チャットボットとはどのようなサービス?の記事から読んでみてください。
会話の流れをコントロールする”診断型”のチャットボット
会話の流れをコントロールすると聞くとイメージしづらいかもしれませんが、”無料診断”などと聞くとイメージしやすいのではないでしょうか?botがあらかじめ決まった質問に対してユーザーが回答を重ねて行くと、「あなたにあった商品は・・・・」などとユーザーが選択(回答)した内容によって、botの回答が異なるケースです。
”診断型”のチャットボットは専門用語的には”人工無脳”と呼ばれています。”人工脳”がいわゆる”AI”のことを指しており、”AI”が特に機能せずとも作れるチャットボットのため、そう呼ばれています。
”AI”が搭載されていないため、費用は”無料〜低価格帯”とかなりリーズナブルに利用することができます。
入力されたテキストに対して回答する”検索型”のチャットボット
8割型のチャットボットはこの”検索型”に当てはまります。Googleの検索エンジンのように、あらかじめ登録しておいたFAQのリストの中から、入力されたテキストで一番回答として合うものをチャットボットが答えます。
少なければ100個、多ければ数万個のデータの中から、瞬時に近しいものを返信する技術に”AI”が活用されています。
あまり「GoogleとAIとで違いが分からない!」という方も多いと思いますが、ここでは「検索アルゴリズム」の違いとして理解しておくと良いでしょう。詳しく知りたい方はこちらも参考ください。
【簡単にわかる】チャットボットで使われているAIってどんな仕組み?図を用いながらわかりやすく紹介
無料で作れるチャットボットの作り方!高性能の「AI」が無料で使えるツールを紹介
AIチャットボットとは?IBM「ワトソン」とGoogle「BERT」のどっちのAIが賢い?
一時期バズった”会話型”のチャットボット
”AI”を使ったチャットボットというと、ニュースなどで取り上げられたことがあるLINEの”りんな”などが有名かもしれません。”りんな”は女子高生をイメージして作られたbotでLINE上での会話を学習し、「元気?」や「なにしているの?」などに対して、あたかもLINE上で本当の人間とやりとりしているように会話をすることができます。
このような”会話型”のチャットボットは、”AI”についてワクワク感や楽しさを感じますよね。ただ、ビジネスでの取り組みではまだ実現できていません。理由は「コンテンツとしての会話」以上の価値にまで至っていないからです。
また、”会話型”のチャットボットはどのような発言をするのかのコントロールができず、学習元となったテキストデータによって左右されてしまう傾向があります。一時期、マイクロソフトが開発した人工知能「Tay」が人種差別的な発言をしたことが話題となりました。人工知能 Tayの差別発言をマイクロソフトが謝罪。「脆弱性を突いた組織的攻撃」と説明
このような理由からビジネスでチャットボットの活用というと、”診断型”=”人工無能”のタイプか、”検索型”=”AI”のタイプかのいづれかの場合がほとんどです。
さらに詳しくチャットボットについて知りたいという方はこちらもご参考ください。
「チャットボット」を完全理解!仕組みから活用イメージまでこの記事1本で大丈夫
ヘルプページのFAQとチャットボットは何が違う?それぞれの強みを生かした活用方法
LINEでチャットボットを作って収益を増やそう!仕組みから導入の仕方、活用事例まで紹介
チャットボットでできること
チャットボットの種類について大きく2つの会話のアプローチ方法によって異なることを説明しました。それでは、”診断型(人工無能)”と”検索型(AI)”ではそれぞれどのような活用をすることができるのでしょうか?簡単にまとめていきます。
”繰り返し”の作業を効率化することができる”診断型”のチャットボット
”診断型”のチャットボットは、一度”ルール”や”シナリオ”(選択肢を用いた会話のルール)を作成してしまえば、永遠と繰り返し作業を行うことができます。いくつか”繰り返し”として用いられる効率化の例をあげます。
- 応募フォーム入力の代わりに活用
- 問合せのヒアリング項目の代わりに活用
- A /B診断などの代わりに活用
- 少ないFAQの問合せ対応として活用
チャットボットは”会話”をベースにした仕様なので、フォームと異なり、一つ一つbotが質問してくれます。PCでの入力の場合はフォームの方が楽かもしれませんが、スマートフォンでの入力の場合はフォームだと”使いづらさ”を感じることが多いです。LINEでの友達との会話のように質問に対して、テキストを返していくだけで、フォーム入力の代わりになるので、ユーザー体験としても高い評価を得れるケースがほとんどです。
特にフォームでの離脱が多くて課題に感じているような企業のケースでは、比較的安価に導入して効果が得られることが多いでしょう。
あの会社のチャットボットはイケている?生命保険会社の導入状況は?
あの会社のチャットボットはイケている?売上TOPの化粧品会社の状況は?
【厳選12社】ネット証券会社のチャットボット導入状況を徹底調査!
ユーザーに合わせて”柔軟に”対応が可能な”検索型”のチャットボット
”検索型”のチャットボットの場合は、「ユーザーの”発話テキスト”に合わせて回答を出すことができる」ということがポイントです。いくつか例をあげます。
- 膨大なFAQがある問合せ対応の効率化
- 定期便や宅配の受け取り日の変更の効率化
- エラーコードによって案内するマニュアルを変更
多くが”問合せ対応の効率化”として用いられるケースです。FAQはサービスの種類や複雑性によって、どのような質問がくるのかが分かれますが、全ての質問を完璧に理解しておくことは難しい世の中になっています。また、コールセンターでは約半分が半年〜1年以内に”離職”することが課題となっており、人材の育成も難しい状況です。
チャットボットであれば、一度データベースへ登録しておけば、リソースに限りなく多くの問合せを対応することが可能となります。クロネコヤマトの宅配の受取変更などの手続きがLINEでできることをご存知でしょうか?不在の時は配達員が伝票を書いてと、かなり工数がかかっていましたが、LINEで事前に通知し、受取日を簡単に変更することができるようになりました。このような企業とユーザーとで双方のメリットに繋がるような活用も多くされています。
【厳選11社】格安SIM、携帯キャリアのチャットボット導入状況を徹底調査!
【JR東日本やANAなど14社】交通インフラ業界のチャットボットの導入・活用実態を徹底調査!
【これだけでOK】チャットボット活用事例まとめ!5業界63社のチャットボットを徹底レビュー
チャットボットのサービス一覧と費用
やっと本題まで来ました。それではチャットボットのサービス一覧と費用について紹介します。チャットボットは無料で活用できるものから、国内でチャットボットを提供している有料サービスについて紹介します。
無料で使えるチャットボットサービス
無料で利用ができるチャットボットでは下記のものが代表的です。特にGoogleのDialogflowは”AI”が無料で利用可能なだけではなく、さまざまなAPIを活用することができるサービスなので、自分で作ってみたいという方は非常におすすめです。
- GoogleのDialogflow
- エボラニ株式会社のanybot
- HubSpot Japan株式会社のHubSpot
実際にこちらで作ってみた記事をUPしていますので、参考にしてみてください。
無料で作れるチャットボットの作り方!高性能の「AI」が無料で使えるツールを紹介
無料のチャットボットの注意点は?チャットボット開発者が実際に使ってみた。
国内で多くの企業が導入しているチャットボットサービス
無料で利用ができるチャットボットは”エンジニア向き”のサービスです。自分でマニュアルなども確認したり、場合によってはコードを書く必要があったりします。そのため国内ではコードレスで利用ができるチャットボットを導入している企業が大半です。
調べたところ大半の企業が非公開という結果でしたが、大体の相場感でいくとAIが搭載されているものは15万〜50万円/月、AIが搭載されていないものは〜10万円/月という費用感となります。
また月額費用とは別に、初期設計費用(チャットボットを作る費用)が最初に発生します。企業や設計の内容によってですが、30万円〜200万円とかなり幅があります。少しサポートしてもらうだけのプランから、全部お願いしてしまうプランまで様々ありますので、予算によってこの部分は相談してみましょう。
料金非公開
- KARAKURI (カラクリ)
- hitTO(ヒット)
- AI Messenger Chatbot (エーアイメッセンジャー)
- チャットディーラー
- サポートチャットボット
- hachidori (ハチドリ)
- PEP (ペップ)
月額1万円〜10万円
月額10万円〜20万円
より詳細に知りたい方はこちらも参考ください。
チャットボットはどこがオススメ?厳選16社のチャットボット特徴比較。
こちら【無料配布】チャットボット19社の比較シートを使って効率よく導入を進めようで19社分の比較シートを無償で提供していますので、是非ダウンロードしてみてください。
また、導入事例について詳しく知りたいという方は【見なきゃ損!】チャットボットの事例を22種(リサーチ10時間分)を無料提供で10時間分のリサーチ結果を提供していますので、参考にしてみてください。
チャットボットでの費用対効果の考え方
チャットボットを導入することで得られる効果は大きく2つです。1つ目が工数削減による効果、2つ目が売上アップによる効果です。
工数削減による効果
工数削減による効果はイメージがしやすいかもしれません。チャットボットを導入することで、問合せの工数が減って人員削減につながったなどの事例となります。問合せのボリュームが多いほど効果が出やすい部分なので、現在1−2名でしか対応していない規模だと、そんなに効果がでないかもしれません。
売り上げ向上による効果
直接的には関与しませんが、間接的に関与してくる効果となります。チャットボットのサポートは導入後は24h365日対応することができるため、ユーザーの不安や不満に対してすぐに対応することができるようになります。購入までのネック点の解消や、満足度購入によるクロスセルやアップセルの促進、口コミ評価やブランドイメージの向上などさまざまな点で効果が期待できます。直接的にではなくとも、間接的に効果を感じることができるポイントです。
事前にシミュレーションしておく
ただ、そうとはいってもなかなか数値に落とすことは難しいことが現実です。そこで簡易的ではありますが、事前にシミュレーションを行うことができる計算式を作成しましたので、よければ導入前の参考にしてみてください。
チャットボットで期待できる7つの効果!導入前のポイントから削減シミュレーションまで紹介
また、導入の際にどのような機能がプランに含まれているのかも見るべきポイントです。参考としてこちらの記事後半に「どういった機能やサポートがあるのか」という項目を記載していますので、参考ください。
チャットボットはどこがオススメ?厳選16社のチャットボット特徴比較。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回はチャットボットの費用についてまとめてみました。機能やサポート内容によって大きく初期費用やランニングコストが変わるということがお分かりいただけたかと思います。チャットボットの導入検討の際に少しでもお役に立てれれば幸いです。
[DISPLAY_ULTIMATE_SOCIAL_ICONS]