チャットボットを導入するとどのような効果が出るのでしょうか?今回は期待できる7つの効果を中心に、導入前の確認すべきポイントや注意点、削減シミュレーションなど細かく紹介していきます。
「問合せ削減」や「コンバージョン(CV)の向上」などでチャットボットの事例をみるけど、実際に導入するとどのくらい効果が出るんだろう・・?
チャットボットは目的や背景によって、搭載している機能が異なるから、事例にあるような効果が「全て期待できる」わけではないんだ。
そうなんですね・・!
全てのチャットボットは同じ機能が搭載されているのかと勘違いしていました。。
まず、チャットボットとは?
チャットボットとは、「ユーザーがテキストで質問をしたときに、自動的にロボットが返答してくれる仕組み」のことです。チャットボットには「AI」を使っているものと、単純に選択肢だけで構成されている「AIなし」ものとが存在しています。
チャットボットで期待できる7つの効果
チャットボットは導入の目的によって搭載する機能が異なります。適切なチャットボットを選ぶことで期待できる効果をまとめてみました。
1.24h365日、ユーザーをまたせずに問合せ対応が可能
チャットボットは人間と違い、「休憩」や「休日」などが不要なので基本的には24h365日、稼働しています。
通常は「深夜帯」などは割増賃金や手当などが発生しますが、チャットボットではツールの利用費等しかかからないため、格安で利用することが可能です。
ユーザーにとっても困りごとが発生したタイミングで、チャットボットを使って解決することができるため、わざわざ日中に問合せをしなくても良いということがメリットになります。
2.問合せが急増してもオペレーターコストや工数を削減できる
どうしても有人オペレーターでの問合せ対応の場合は、対応可能なリソースに限りがあります。
システム障害やトラブルなどが発生したタイミングでは問合せが急増し、オペレーターを増やさない限りは対応漏れが発生してしまいます。
また、このような問合せの場合は、
「申し訳ございませんが、解決までしばらくお待ち下さい」
などの決まった回答しかできないケースが多いかと思います。
チャットボットの場合は、上記のようなテンプレートでの回答が非常に得意なため、
仮に問合せが急増したとしても、全て漏れなく対応することが可能です。
オペレーターの人数を増やさずとも100人〜200人分でも1台のチャットボットで稼働が可能なため、ユーザーと企業の両方にメリットがあるのではないでしょうか。
3.ユーザーボイスを可視化して課題や多い問合せを把握することができる
チャットボットを導入することで、ユーザーの入力した「テキスト」がデータベースに溜まっていきます。
電話対応などですと、対応のたびに人が履歴を残さなくてはならず、その履歴をみるのも大変です。
チャットボットの場合は、自動的に格納されていくため、テキストマイニングなどを使って簡単に分析することができます。
これまで拾えなかった「ユーザーボイス」やどのような問合せが多いかの管理なども容易になるため、網羅的に対応ができるようになります。
4.学習させた分だけ賢くなる
チャットボットは一度学習させたら、その通りに対応するため、ミスや忘れることなどはありません。
また、会社を辞めるということもないため、利用し続ける限りは、学習させた分だけ賢くなっていくことが特徴です。
特に専門的な知識が必要な場合は、教育コストや採用コストなどに多くの費用を投じている企業が少なくありませんが、チャットボットの場合は、低コストで実現することが可能です。
5.会話型だからストレスなく記入ができる
チャットボットはフォームやメールと異なり、ボットの会話の中で問合せを解決することができます。
フォームやメールですと、入力漏れによるエラーや、聞き直しなどが発生しますが、チャットボットの場合は1つ1つ、確実にボットから質問され、チャット形式で答えていくので、ストレスなく問合せを行うことが可能です。
6.APIやシステムと連携することで大幅な問合せ削減が期待できる
チャットボットと企業で使っている顧客管理システムや決済システムなどと連携することで、大幅な問合せ削減が実現できます。例えば、ヤマト運輸のLINEのチャットボットでは「問合せ日時の変更」などができます。
これまで実際に配達員が何度も配送したり、日時変更の電話を受付たりと多くの工数が発生していましたが、チャットボットを使って、通知や変更手続きを可能にしたことで大幅な工数削減とコスト削減を実現することができました。
物流だけでなく、通販や保険、ネット証券など多くの業界でチャットボットが利用されており、システム連携している企業も徐々に増えている状況です。
7.LINEやFacebookと連携することでCPAを抑えてCVを増やすことができる
マーケティングの施策としてもチャットボットは利用されています。チャットコマースとしてCMを売っている「Zeals (ジールズ)」などが代表的です。
LINEやFacebookで友達になったユーザーに対して、チャットボットの活用状況や利用された特徴からユーザーの興味関心のあるコンテンツを把握し、ユーザーにあった訴求を行うことができます。
興味関心のないユーザーにはしつこくアプローチを行う必要がないため、ユーザーのLINEブロックのリスクを排除しながら、広告効果を最大化させることが可能です。
問合せ削減からマーケティングでの効果最大化と幅広く効果が期待できそうですね!
そうだね。適切な機能を持ったチャットボットを選ぶと、大きな効果が期待できるね!
ただ、ポイントを抑えて置くことが必要だから次も見てみよう。
効果を出すために、導入前に確認すべき5つのポイント
それではチャットボットで効果を出すために、事前にどのようなポイントを確認しておいたら良いでしょうか?
ここでは5つまとめて紹介します。
1.導入の目的をはっきりさせる
チャットボットを何のために導入したいのかの目的をはっきりさせておかないと効果が出にくいです。
というのも、「問合せ削減」が目的なのか、「コンバージョン(CV)の向上」が目的なのかによって必要な機能が異なってくるからです。
例えば、問合せ削減の場合は、「AIを搭載しているチャットボット」や「メール送付機能」などがついていることがポイントになります。
反対にCVの向上が目的な場合は「ポップアップの機能が搭載していること」や「LINEやFacebookとの連携ができること」などが必要なポイントとなってくるでしょう。
2.AI搭載ありとなしのポイントを理解しておく
「AI搭載」のチャットボットとそうでないチャットボットは何が異なるのでしょうか?
一言で言うと、「フリーワード検索ができるかどうか」の違いになります。
膨大なFAQや多くの問合せに対応するとなると、1つ1つ「選択肢」で予め作っておくことは「不可能」に近いため、AI型のチャットボットで、フリーワード検索に対応していることが1つの大きな条件になります。
詳しくはこちらの記事でまとめていますので、気になる方は参考にしてみてください。
3.チャットボットベンダーの機能や料金の特徴をヒアリングしておく
チャットボットは2016年前後から流行り始めたサービスで、多いタイミングでは100社以上のツールがあったと言われています。多くのツールでは近しいような機能を搭載しておりますが、それでも機能やサポート内容でそれぞれ違いがあります。
チャットボットの導入目的に応じて必要な機能が異なりますので、それぞれどういった機能があるのか、価格は予算の範囲内かなどを確認しましょう。
4.自社で導入するか、専門家に任せるかを判断しておく
どのツールを選ぶかによりますが、価格が低いサービスは自分で使いこなす必要があります。
チャットボットは最初はそれなりに知識や、チャットボットへの学習コストが発生するため、専用に担当をつけることができるかどうかを確認しておくと良いでしょう。
もし難しい場合は、専門家が代行して運用サポートしてくれるベンダーも多いため、ヒアリングの際に確認しておくと良いと思います。
5.チャットボットで効果がでるまでのロードマップを理解しておく
チャットボットは導入しただけでは、「効果がでない」と言うことを理解しておきましょう。
問合せ削減の効果がでる条件は、
- 従来のメールや電話などの問合せよりも「チャットボットが目立っている」
- チャットボットで問合せができることが「認知されている」
- チャットボットに登録されている情報が常に「最新のものとなっている」
- 人でしか対応ができないものは「長期的にシステム連携を行う計画を立てている」
などが必要です。
多くのユーザーに認知され、使いやすい問合せツールとなって初めて「削減効果」が期待できるため、導入しただけで終わらないように注意が必要です。
チャットボットは導入することよりも、事前に決めておくことや、導入後のアクションが重要そうですね!
そうだね。目的にあった選び方と、効果がでる運用を行なっていくことがポイントだね!
チャットボットの注意点
便利である反面、チャットボットが苦手な部分や異なる特徴があるので理解しておきましょう。
1.長文はAIで認識ができない
よくメールや電話では「お世話になっています。」や「〜を××に買って届いたけど、〜が故障しているみたいで、××ができない」などのように長文で質問を受けることが多いと思います。
チャットボットでは、事前に学習された「文章」と近しい文書を判断して回答を返すような仕組みとなっています。
そのため、長文だとエラーとなってしまい、チャットボットがうまく反応することができなくなってしまいます。
2.メールや電話の問合せとは異なる質問傾向
チャットボットでは電話やメールと異なり、より「気軽に」ユーザーは問合せを行うことができます。
平均して、これまでの問合せと同じくらいのユーザーがチャットボットを使うようになるため、全体では問合せ数は2倍ほどまで増加します。
ただ、多くのユーザーはチャットボットのみで解決することができるため、全体としては、「人による対応工数」が減るという仕組みです。
より気軽な質問が増える分、質問も細かくなるため、より頻繁に管理していくことが必要となります。
問合せ削減のシミュレーション
それでは、チャットボットを導入することでどのくらいの問合せを削減することができるのでしょうか?
問合せ数が変わらないという前提となりますが、概算として下記の必要項目を埋めて数値を確認してみましょう。
サイレントカスタマーの売上への影響シミュレーション
チャットボットを導入することで、問合せ削減の効果以外に、売上向上の効果ができます。
一般的に不満や不具合があった際に問合せをする割合は56-57%と言われており、残りのユーザーは問合せしないユーザーのようです。問合せをしないユーザーのうち、72%は次からサービスを2度と利用しないようです。
チャットボットの導入によりこれらのユーザーのサービス継続利用をサポートすることができるため、見えていなかった売上低下の要因を潰すことが期待できます。
まとめ
今回はチャットボットを導入することで期待できる効果をまとめました。効果は問合せ削減から売上向上まで多く期待することができますが、導入する前の目的の整理と、導入後の運用がポイントとなります。
チャットボットは同じようで、機能やサポート内容がベンダーによって異なっていますので、自社に適したチャットボットを選んでいきましょう。